# --- Kifu for Windows V6.34 棋譜ファイル --- 開始日時:2010/7/28 13:00 終了日時:2010/7/28 14:46 棋戦:第4回日レス杯2回戦 持ち時間:0時間40分 消費時間:74▲40△40 場所:駒込サロン 手合割:平手   先手:林葉直子さん 後手:中倉彰子初段 手数----指手-- *将棋界の表舞台から去ること15年。満天下の注目を浴びながら、あの林葉直子さんが再び将棋盤の前に戻ってくる。対するは本棋戦昨年度ベスト4の中倉彰子女流初段。対局場はLPSA駒込サロン。対局開始は7月28日(水)13時。持ち時間は各40分。使い切ったら、一手60秒以内。先後は対局前、振り駒によって決められる。ウェブ観戦記担当は辰巳五郎さん。記録係は大庭美樹女流初段。本局の勝者は準々決勝で、船戸陽子女流二段と対戦する。 *12時45分頃、林葉さん登場。「リゾート風の格好できました」というファッション。多くの報道陣から一斉にシャッターがたかれた。12時50分、中倉彰子初段登場。同様に写真を撮られた後、席に着く。作法としては上位者が駒箱を開けて、駒を取り出す。中倉初段が林葉さんに「どうぞ」とうながすと、林葉さんは笑って、「それはプロの先生が」。中倉初段が駒を盤上に取り出した。中倉初段が王将、林葉さんが玉将を取って、順に駒を並べていく。 *振り駒は、中倉初段の振り歩先。大庭初段が歩を5枚振ったところ「と」が3枚、「歩」が2枚出て、林葉さんの先手と決まった。 * *(棋譜・コメント入力=青葉) 1 7六歩(77) *林葉さん、15年ぶりの初手は角道を開ける▲7六歩。 2 3四歩(33) *中倉初段も角道を開ける。ここで約40社の大報道陣がいったん退出。時計が止められた。「暑いなあ、こんなに人が多いと」と笑う林葉さん。現在はしばし対局中断中。 *13時6分、対局再開。 3 7五歩(76) *変幻自在、自由闊達に何でも指しこなす林葉さん。本局では石田流の態度を見せる。 * *※記者会見にて。 *石橋「3手目▲7五歩は現在将棋界でも流行している作戦でして・・・」 *林葉「えー、全然知らなかった(笑)」 4 4二玉(51) *中倉初段は振り飛車が多いが、居飛車も指しこなす。 5 7八飛(28) *現代将棋界の一大流行戦法。林葉さんが最先端までフォローしているのかどうかは、これからわかるだろう。 6 6二銀(71) *中倉初段、慎重な駒組。 7 4八玉(59) *林葉さん、駒を持つ手が少しおぼつかないような、震えるような手つき。 8 6四歩(63) *実戦例多数のようで、早くもあまりない形。代わりに△8八角成▲同銀△4五角と踏み込めば乱戦。 9 3八玉(48) 10 6三銀(62) 11 5八金(69) 12 8四歩(83) *ここまでの消費時間は、林葉さん4分、中倉初段6分。 13 7六飛(78) *大上段に構える。 14 8八角成(22) *一手損となるが、角を換えて、囲いの整備を楽にする。 15 同 銀(79) 16 3二銀(31) *中倉初段は左美濃に組む。 17 2八玉(38) 18 5二金(61) 19 3八銀(39) *振り飛車の基本は美濃囲い。林葉さんは金銀3枚で堅く組んだ。あとは駒が少ない左辺で、いかにスキを作らないか。 20 4四歩(43) 21 4六歩(47) *位を保ちながら。一般的に美濃囲いはこの筋の歩を突くと、強度が増すと言われる。 22 3一玉(42) 23 6六歩(67) *林葉さんの方が少し、駒組に神経を使う展開となったか。中倉初段はここで考えている。 24 4三金(52) *いわゆる、高美濃の構え。ここまでの消費時間は林葉さん7分、中倉初段16分。 25 9六歩(97) *こちらの端から突く。 26 2二玉(31) 27 1六歩(17) *大きな一手。玉のふところを広げて、左側から攻められたときに、逃げ道を作る。これで寄せの際には、金銀3枚ほども違ってくると言われる。 28 1四歩(13) *中倉初段、ノータイムで受ける。 29 9五歩(96) *いかにも林葉さんらしい指し回し。「切れたら・・・1分?」と記録係の大庭美樹初段に確認する林葉さん。本棋戦では40分の持ち時間を使い切ると、1手60秒以内に指す。 30 3三桂(21) *中倉初段、慎重に時間を使いながら、自然な駒組。 *ここまでの消費時間は林葉さん10分、中倉初段20分。 31 7七桂(89) *林葉さん、小さくため息をついた後、一呼吸を置いて桂を跳ねる。7八や8九に角を打ち込むスキができるだけに、大丈夫という確信がないと、この手は指せない。では実際に、△7八角と打ち込むとどうなるのか。これには▲9八角と打つ。(A)△6九角成ならば▲8九角と引いて、次に▲5九金寄で馬を取ることができそう。(B)△3五歩には▲6五桂(7八角取り)△3四角成▲7三桂成△同桂▲7四歩と斬り込んで、先手よし。さすがは林葉さん、という一手か。考え込む中倉初段、時間がなくなってゆく。 32 8五歩(84) *角を打ち込む手はないと見て、飛車先を伸ばす。消費時間は林葉さん13分、中倉初段32分。△8五歩には▲同桂と取られる筋があるが・・・? 以下△同飛ならば▲9六角。 33 6五歩(66) *こちらから仕掛ける。振り飛車がポイントをあげるチャンスか。中継担当者を見て、にっこりと笑う林葉さん。手応えありか。中倉初段、もう残り時間はほとんどない。 * *※ここは▲8五同桂で、はっきり林葉さんよしだった。 34 8四飛(82) *中倉初段、飛車を浮いて受ける。林葉さんの目が光ったか。▲9五歩と突き越しているのが大きなポイントで、依然どこかで▲9六角と打って攻める筋も見える。 *消費時間は林葉さん17分、中倉初段37分。 35 7四歩(75) *少考で、そっと突き出す。△7四同飛からの飛車交換はよしと見たのだろう。 *中倉初段、40分の持ち時間を使いきって、あとは一分将棋。林葉さんは残り19分。 36 同 飛(84) *秒を読まれて決断。 37 同 飛(76) *林葉さん、一瞬迷ったように手を伸ばし、一呼吸をおいて飛車を取る。 38 同 銀(63) 39 6一飛打 *林葉さん、自信に満ちた手つき。 40 8九飛打 *中倉初段も飛車を打ち返し、駒を取れる形。もはや一方的に攻められてしまうという展開ではない。 41 8一飛成(61) *早指しで飛ばす林葉さん。 42 8八飛成(89) *銀を取れたのは大きい。 43 5五桂打 *林葉さんはスピード勝負。 44 4二金(43) *これは逃げる一手。 45 9一龍(81) *次に▲4三香を見せる。 46 5四銀打 *しっかり受ける中倉初段。そう簡単に崩されてしまう陣形ではない。「そうか・・・」とつぶやく林葉さん。誤算があったか。 47 6一角打 *執拗に▲4三香を狙う。秒読みの中倉初段、うまく対処できるか。 48 2五角打 *はっと目を引く攻防の角。林葉さんはまだ13分ほど時間を残している。考えたいところでこれだけ時間が残っているのは大きい。 49 3六香打 *攻防手の応酬。 * *※▲4三香の攻め合いもあったか。 50 5五銀(54) *この桂をはずせるのは大きい。さらにこの銀は、4六にも斬り込んでゆける。 51 2六歩(27) *しかしこうして角を取ることができる。 52 3六角(25) 53 同 歩(37) *駒割は▲角△銀桂の二枚換え。林葉さんは歩切れ。手番は中倉初段 54 4三香打 *▲3四角成を防ぎつつ、スキを埋める。 55 7二角成(61) *ならばと遠巻きから。林葉さんは残り7分。 56 4六銀(55) 57 7三馬(72) *遠いようでも、加速を見込める馬。 58 2四桂打 *終盤の手筋の控え桂。△3六桂と跳ぶ形を作ることができれば、寄せが見えてくる。とはいえ、現状はまだ駒不足。 59 7四馬(73) 60 7七龍(88) *馬取りに引きつつ、桂を補充。大熱戦。 *林葉さんも残り3分を切った。 61 7五歩打 *なかなか思い浮かばない手。貴重な一歩を使ってでも、この筋に馬を残す。 62 3六桂(24) *中倉初段、自信ありか。 63 3九玉(28) *ここに逃げた。先手玉、絶体絶命を思わせる形。 64 5七銀成(46) *自然な寄せ。林葉さんも時間を使いきって、ここからは両者一分将棋。 65 5五角打 *林葉さん、ため息のあとに着手。 66 5八成銀(57) *▲7七角は△2八金まで。 67 同 金(49) *5五角の利きを残して、ギリギリ耐えようとする。 68 4八金打 *ゆるまず。 69 同 金(58) 70 同 桂成(36) 71 同 玉(39) 72 3六桂打 73 5八玉(48) 74 5七金打 *以下はどこに逃げても、林葉さんの玉は詰んでいる。終了時刻は14時46分。消費時間は両者ともに40分。「途中はいいと思ったんだけど・・・」と林葉さんは頭に手をやり、はにかんだ笑顔を見せた。「相振りばっかり研究してたんだけど・・・」と林葉さん、今度は大きく笑った。32手目△8五歩に▲同桂はなかったですか、と関係者が尋ねると、「そうかー、全然気づかなかった」と林葉さん。そう指していれば、林葉さんよしだったか。 75 投了 まで74手で後手の勝ち