# --- Kifu for Windows V6.36 棋譜ファイル --- 開始日時:2010/08/08 10:45 終了日時:2010/08/08 12:35 棋戦:第4回日レス杯準々決勝 持ち時間:0時間40分 消費時間:114▲40△40 場所:新宿・京王プラザホテル 手合割:平手   先手:鈴木悠子アマ 後手:石橋幸緒天河 手数----指手-- *第4回日レスインビテーションカップ準々決勝。石橋幸緒四段−鈴木悠子アマ戦。持ち時間はチェスクロック使用で各40分、秒読みは60秒。対局場は東京・新宿「京王プラザホテル」43階。準々決勝4局一斉の公開対局。開始は10時45分から。勝者は14時から準決勝を戦う。振り駒はと金が4枚で鈴木さんの先手に決まった。10時30分から開会式。大勢のお客さんの前で出場者があいさつをした。 *(棋譜・コメント入力=桜木) 1 7六歩(77) *開始の合図で4局一斉にスタート。紺のスーツ姿の鈴木さん、静かに角道を開けた。 2 3四歩(33) *大きな駒音で△3四歩。石橋は扇子と時計を盤の前に置いている。クリーム色のジャケット。白黒のスカーフを巻いている。 3 2六歩(27) *鈴木悠子さんは早稲田大学2年生。中学生のころから各大会で活躍し、2007年度第15回高校将棋新人大会の女子の部優勝。高校3年の時、高校竜王戦の県大会を男子に混じって勝ち進み、静岡県代表になっている。大学に入ってからは関東女流学生名人を3連覇している。今回はキリンビバレッジカップ・ガールズクラス優勝者として出場。 4 5四歩(53) *石橋幸緒(いしばし・さちお)天河は1980年11月25日生まれ。東京都小金井市出身。5月にLPSA代表理事に就任、先頭に立って運営にあたることになった。93年10月、女流2級。19歳で初タイトルの女流王将を獲得。2004年9月、女流四段。10年3月、LPSA公認棋戦の第2期天河戦で天河位を奪取。養護学校に通っていた経験を活かし、教室や大会などでハンデを持つ方への普及を積極的につとめている。書道は師範格で「開雲」の号を持つ。座右の銘は「万物生きてこそ光り輝く」。趣味は野球観戦(ベースボールエキスパート1級)と競技麻雀。 5 4八銀(39) *日レスインビテーションカップはトーナメント形式のPSA公認棋戦で、今回が4期目。過去3回の優勝者は中井、中井、石橋だった。ほかに天河戦がタイトル戦形式のLPSA公認棋戦で、石橋が天河保持者。月1サイクルの1dayトーナメントがLPSA準公認棋戦という位置づけだ。 6 5五歩(54) *日レスインビテーションカップは第1回、第2回はLPSA女流棋士14人でのトーナメントだった。昨年行われた第3回でアマ選手3人、ツアー女子プロ1人が招かれた。その4人が1、2回戦を8勝0敗で全員突破して大きな話題になった。最後まで勝ち進んだ成田弥穂さんが石橋と決勝を争った。 7 2五歩(26) *本トーナメントのスポンサーの日本レストランシステム株式会社は多業態型レストランチェーンの経営、輸入業および輸入品の販売で全国で愛される食品を提供している。スパゲッティの「洋麺屋五右衛門」やハンバーグ&ステーキの「俵屋」などでおなじみだろう。 *http://www.n-rs.co.jp/ 8 3三角(22) *対局場は東京・新宿「京王プラザホテル」の43階。準々決勝4局が並んで行われている。窓の外は東京の街と青い空が広がり絶景だ。 9 6八玉(59) *大盤解説場では特別ゲストの木村一基八段による解説会が始まっている。聞き手は中倉宏美二段。 10 4二銀(31) *やや早い銀上がり。居飛車も考えられる。 11 5八金(49) *慎重な金上がり。▲7八玉を先にすると△8四歩と突かれたときに8筋が不安。 12 5二飛(82) *ここで正体を現した。 13 7八玉(68) *開会式で石橋は「今期の日レス杯の話題はすべて林葉さん。連勝新記録で中井さん。話題に上っていない石橋ですので、ここで目立ちたいです」とあいさつした。 *鈴木さんは「アマチュアで招待していただいた鈴木です。会場と雰囲気に圧倒されて震えが止まりませんが、頑張ります。よろしくお願いします」。 * 14 6二玉(51) *大盤解説場の中倉宏は「私は鈴木さんに負かされてしまったんですが、研究会では何度か指していたんです。そのときは負けたことがなかったのですが、本番では指し方が違ったんです」木村「それは厳しいね(笑)」 *中倉と鈴木さんはLPSAキッズスクールの講師とアシスタントという関係だ。 15 6六歩(67) *鈴木さんは角道を止めて持久戦志向。1回戦の藤森四段戦、2回戦の中倉宏二段戦、いずれも居飛車穴熊で勝っている。 16 7二銀(71) 17 7七角(88) 18 7一玉(62) 19 6七金(58) *▲6六歩〜▲6七金でさばきを消してから、玉を囲うのが手順。 20 5三銀(42) 21 8八玉(78) 22 6四歩(63) 23 7八金(69) 24 8二玉(71) 25 9八香(99) *居飛車穴熊を明示した香上がり。 26 3二飛(52) *3筋へ。△5二金左のスペースを作った。石橋は居飛車穴熊を組ませて、位で押していく作戦のようだ。 27 4六歩(47) *5筋の位を取られているので▲4八銀の活用が鍵。 28 5二金(41) 29 9九玉(88) 30 6三金(52) *高美濃囲い完成。 31 8八銀(79) *ハッチを閉めて居飛車穴熊が完成した。ここからは攻撃陣を構築していくことになる。 32 7四歩(73) 33 4七銀(48) *3段目に進出。 34 5四銀(53) *5筋位取り中飛車は居飛穴の堅さに、広さで対抗する戦型。この美しい5四銀型が魅力。 *少し前までは振り飛車作戦勝ちと言われていた。鈴木さんはどういう指し回しを見せるか。 35 3六歩(37) 36 9四歩(93) 37 9六歩(97) 38 1二香(11) 39 1六歩(17) 40 1四歩(13) 41 4五歩(46) *少考していた鈴木さん。歩を突き出した。何も利いていないところ。手つきはおとなしかったが指し手は大胆。 *「鈴木さんにセンスのいい手が出ましたね。なかなか思いつきませんよ。取ってみろ、と」と木村八段。 42 同 銀(54) 43 3七桂(29) 44 5四銀(45) 45 4六銀(47) *なるほどという手順。1歩を犠牲に銀桂の動きを楽にした。指しなれている印象だ。 46 7三桂(81) *あわてず桂を送り出す。 47 4五銀(46) *がつんと。先手は居飛車穴熊が完成している。 48 同 銀(54) 49 同 桂(37) *鈴木さんは積極的。 50 5一角(33) *この戦型は暴れる居飛車を、振り飛車が丁寧に面倒を見るという展開になる。受けが成功すると姿焼き、突破されたら穴熊手つかずで快勝、と大差になりやすい。 51 6五歩(66) *浮いている5五歩を狙う。 52 同 桂(73) *桂は端に使いたい意味もあるが、角に当てて形を決めに行った。 53 5五角(77) *当然の一手。 54 4四銀打 *この角桂取りが石橋の狙い。 55 同 角(55) 56 同 歩(43) 57 4三銀打 58 2二飛(32) 59 4二歩打 *4筋の歩が切れているのを生かし鈴木さんは巧みに手をつないでいく。 60 4五歩(44) *これで角桂と銀の交換に。この瞬間は振り飛車側が大きな駒得になった。 61 3一銀打 *1二香型がたたって飛車の行き場がない。石橋はうんうんとうなずいた。 *飛車を持てば攻めが切れることはない。石橋がどういう手順で反撃するか。 *残りは鈴木さん3分、石橋13分。 *「私の第一感はだまって△8四角です」と木村八段。 62 3七角打 *ぼんやり。▲2九飛に△5五角成として馬の力で制圧するつもりだろう。 *「▲2九飛より▲1八飛の方が受けに利いてよいですね」と木村八段。 63 3八飛(28) *角に当てて飛車を寄る。 64 5五角成(37) *香も取れたがじっと成り返る。 65 2二銀成(31) 66 同 馬(55) *「馬の力で飛車打ちのスキがないようですが、飛車がなくても攻められるんです。▲4一歩成〜▲4二とですね」と木村八段。 67 4一歩成(42) *鈴木さんは持ち時間を使い切り1分の秒読みに入った。 68 8四角(51) 69 4二と(41) *着実な攻め。鈴木さんは居飛穴の中盤戦を指し慣れている印象だ。 70 5七桂成(65) *待望の反撃。 *桂を成って、石橋は席を立った。 71 同 金(67) *鈴木さんは首をかしげながら成り桂を取った。取った桂も攻めに使える。 72 同 角成(84) *大きな馬ができた。2枚の馬が先手陣をにらんでいる。次は△6六桂など確実に絡んでいける。穴熊がどれだけ耐えられるか。 73 5二銀(43) *▲5二とは△7一金で次がない、と銀不成で迫る。 74 6九銀打 *なるほど△6六桂は▲7九金と引けるが、△6九銀なら▲7九金には△同馬がある。 75 6一銀(52) 76 同 銀(72) *石橋は残り10分。 77 5一飛打 *迷ったような手つきだったが、馬と銀の両取り。△7八銀成▲同飛△6七金で、▲6一飛成が詰めろでなければ△7八金で後手が勝つ。 *先手玉に寄せがあるかどうか。石橋が考えている。 78 7九銀打 *すごいところに放り込んだ。次に△7八銀成が必死。▲7八同飛としても△8八馬▲同飛△同銀成で詰む。▲7九同金は△同馬が詰めろでスピードが上がってしまう。 *鈴木さん秒読みが続いている。 79 6一飛成(51) *強く踏み込んだ。 *「この手が詰めろなら鈴木さん勝ちです。詰めろかなあ、どうだろう」と木村八段。 80 7八銀成(69) *石橋も残り時間を使い切った。チェスクロの電子音の中、石橋は金を取った。 *▲7八同飛と補充したいが△8八馬で詰んでしまう。 81 7二金打 *鈴木さん、時間いっぱいまで使って王手。詰むや詰まざるや。 82 9三玉(82) *大きな駒音で玉を逃げた。△9二玉は▲9一龍△同玉▲9三香△9二合▲8二銀で詰み。 83 9一龍(61) *△9二桂合は▲8二龍△8四玉▲9三銀△8五玉▲8六金まで。 84 9二金打 *従って金合い。しかし▲9二同龍△同玉▲8四桂が好手で詰んでいるようだ。 85 同 龍(91) 86 同 玉(93) 87 8四桂打 *捨て桂の好手。△8四同歩なら▲8一銀△9三玉▲9二金△8三玉▲8二金左△9三玉▲9二銀成までピッタリの詰み。 *「鈴木さんやりましたか」(木村八段) 88 9三玉(92) 89 8二銀打 *! ▲9二金なら詰んでいた。以下△8四玉▲8六香△8五桂に▲9三銀まで。 90 8四玉(93) 91 8六香打 92 8五桂打 *石橋、虎口を脱したか。 93 同 香(86) 94 同 玉(84) *▲8六金は△8四玉で詰まない。 95 9七桂打 *7六に逃げ道が開いている。 96 7六玉(85) 97 7八飛(38) *王手で攻め駒を抜きにいく。 98 6七玉(76) 99 7七金打 100 5六玉(67) 101 7九銀(88) *攻め駒を一掃して必死をほどく。そのかわり後手玉はかなり安全になった。 102 6九飛打 103 5八銀打 *時間いっぱいまで考えての着手。 104 7九馬(57) *ここで▲6九銀は△7七馬で詰んでしまう。 105 4七銀打 106 6五玉(56) *後手玉の位置を変えて△7七馬に▲同桂の王手を作ったが。 107 6九銀(58) 108 8八銀打 *先に銀を打つ手があった。 109 同 飛(78) 110 同 馬(79) 111 同 玉(99) 112 7六桂打 *馬筋を生かした王手。 113 7八玉(88) 114 6八金打 *ここで鈴木さんが「負けました」と頭を下げた。以下は▲6八同銀△8八飛▲6七玉△6八飛成までの詰み。 *終局後、石橋は口頭で89手目▲9二金以下の詰みを指摘。鈴木さんは「えっ?」という表情をした後、「ああ! そっか」と顔を伏せた。大盤解説場で石橋は「△7八銀成と指す前に、詰み筋に気づいて手が震えました。2分ほどあった時間を使い切りましたが、結局指すしかなくて。ゆるめてもらったのでしょうか」と苦笑い。 *鈴木さんは残念な一局。お客さんからは大きな拍手が贈られた。 *石橋は14時から、船戸−中倉彰戦の勝者と対戦する。 115 投了 まで114手で後手の勝ち