日本女子プロ将棋協会

R E P O R T

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REPORT 2010.07.19

能勢チェック!

1枠 ナツコサマー
 残念ながら公式棋戦は引退ということになったが、社団戦に参戦するなど意欲満々。むしろ肩の力が抜けてノビノビできる立場になったのは、棋風的にも一番のプラスかも。
【好走パターン】三間飛車、低く構える陣形が主流。穴熊はやらない。
2枠 ペコヒメ
 2度のA級経験はメンバー中ナンバーワン。予想の見解にも触れた通り、1dayトーナメントにはめっぽう強い。長期休養を挟み体調面が心配だが、出走する限りは泣きごとは言えない 【好走パターン】四間飛車穴熊が十八番。一直線の攻めが持ち味。
3枠 ドサンコマナムスメ
 他の参加者にはない若さ、伸長の余地が最大のセールスポイント(…と書くと全員を敵に回しそうだが)。勢い任せの振り飛車から、居飛車に転身してやや停滞気味も成長の過程ととればプラスに。1dayトーナメントの実績も十分。
4枠 ミキティマリーンズ
 マイナビ予選1回戦を勝ち、来年はチャレンジマッチ(予備予選)を回避。気楽になって手が伸びれば大駆けもある。1day優勝がないだけに、そろそろ一冠が欲しい。
【好走パターン】自在。切り合うよりは粘りが身上。
5枠 ヨウコソムリエール
 予想の見解でも触れたが、短時間での集中的な爆発力、ハングリーな面は相当なもの。1dayでの対石橋戦の度重なる競り合いを見ると、もっと勝ってもいいと思うのだが…。以前から格下にも負けるポカはある。ただ、マイナビ予選では初戦で清水女流二冠に当たる 不運?(敗退)で再びハングリー精神に火がつくか。 【好走パターン】戦型自在。軽いというよりはガジガジ流。
6枠 ケンタエックス
 昨年角落ちで勝利目前まで行った、伊藤動物名人(!)よりも実力的にはかなり上。今年は平手での対戦。指導対局では女流プロと五分以上だが、緊張する場で力を発揮できるか。 【好走パターン】居飛車正統派。対振り飛車には急戦が多い。
7枠 カオリテンジン
 A級陥落後に伸び悩んでいるのはヒロミと同じ。マイナビ予選もアマには貫禄を示したが、本戦入りはできなかった。好調の時も連敗はしないが連勝もしないというタイプで、連勝が要求されるマイナビ予選や本レースはいまひとつなのか。松尾歩七段がゲストということを味方にできるか、それともプレッシャーとなるのか。 【好走パターン】四間・三間何でもできるが、ゴキゲン中飛車の採用率が高い。
8枠 ヒロミハーレー
 A級昇級までは順調に見えたが、二段へのカウントダウンが始まった頃から急失速。ここ2年の成績は誰が見てももの足りないだろう。特に本人が。だが、ここにきてようやく吉報。 苦しみのマイナビチャレンジマッチを抜け、マイナビ予選も見事にブロック抜けして本戦入りを決めた。勢いに乗って復調をアピールできるか。いろいろと充実しているとの情報もある。 【好走パターン】居飛車も振り飛車もやるが、対抗形が主流。対振り飛車には居飛穴が多い。
★1回戦の戦型予想と見どころ
・ナツコサマー×ペコヒメ
 三間飛車ひと筋で激動の世をも渡ってきたナツコにとって、今さら自分のスタイルを変える必要はない。対するペコヒメ振り飛車専門。敢えて居飛車にする可能性は極めて少なく、相振り飛車が濃厚。先後にもよるがナツコ三間vsペコ向飛車あたりか。ともに一直線の攻めがお家芸で、戦いが始まると中盤が短く一気に終盤になる場面も。互いに我が道を行くノーガードの打ち合いまであり、失着が出ると差が開く可能性も。
・ドサンコマナムスメ×ミキティマリーンズ
 ミキティ将棋は、まともな居飛車vs振り飛車の対抗形にはなりづらく、相居飛車もしくは相振り飛車が多い。逆にマナムスメはツアー女子プロになりたての頃には振り飛車党だったが、ここ1年ほどで居飛車へのシフトチェンジ。いずれにしても対抗形の方が戦い慣れている印象だ。相撲で言う「ケンカ四つ」だけに、序盤からの駆け引きが面白い。ミキティの右玉も十分にありそう。
・ヨウコソムリエール×ケンタエックス
 居飛車のエックスに対するヨウコの作戦によって戦型は決まる。彼女は過去の1dayで解説者の戦型予想の声を聞くと、それを外して戦型を組んでいるのでここでは敢えて予想しない。振り飛車対抗形ならエックスの急戦志向が本線。相居飛車なら矢倉系になりそうで、そうなればジックリした戦いになりそう。何でもできる両者だが、時間の短い将棋だけに横歩取りや相掛かりの乱戦にはしづらいのでは。中終盤の白熱したねじり合いに期待。
・カオリテンジン×ヒロミハーレー
 テンジンには石橋天河をも破った裏芸=矢倉があるのだが、相手が振れば居飛車、居飛車なら振り飛車…という対抗形志向のヒロミ相手では普通に振り飛車を目指すだろう。テンジン振り飛車vsヒロミ居飛車(本線はゴキゲン中飛車か)が濃厚。居飛車側の作戦がカギとなりそうだが、穴熊本線の持久戦60%、急戦志向30%、その他10%とみる。中・終盤が長くなりそうな組み合わせで、粘りと根性と棋力の戦い。
(会場で配られたプリントより。さて結果は?)